カードローンの成り立ち

サラ金と呼ばれた頃

カードローンの始まりは日本の高度成長期に急拡大したサラ金にあります。サラ金はその名の通りサラリーマンに無担保融資する金融業者でした。安定した給与がある人に担保を取らずに融資をする代わりに、高い金利を適用していたのです。そしてサラ金を管理する必要に迫られた政府は貸金業法という法律を作りました。後に問題となり破綻してしまう事になるグレーゾーン金利もこの時に考えだされたのです。単に法律で管理するだけではなく、高い金利のお墨付きを与える事で業者の登録を即していたのです。しかし、サラ金が拡大するに連れて社会問題も生み出してしまいます。当時サラ金地獄と言われるようになった多重債務や借り過ぎて返済が出来なくなる人が出てきたのです。また、当初は取立てに関する規定が甘く、強引な取り立てが横行していました。会社に直接返済を迫ってきたり、家や実家にまで返済を求める担当者が訪問していたのです。取り立てに関しては法制度の改正で強引な手法が取れなくなりましたが、多重債務問題に関しては自己責任の麺もありましたので、暫くは対策されずに行く事になります。サラ金が拡大していった原因の一つには銀行が簡単に融資をしない現実がありました。銀行は基本的に担保主義ですし、融資に長い時間や厳しい審査を伴う為、簡単に借入が出来ないのです。しかし、小額な資金需要は常に社会にありますので、それをカバーする為にサラ金は生まれ、そして急拡大していったのです。

TVCM解禁と繁栄

1990年以前はあまりTCで消費者金融の広告は目にする事がありませんでした。一つにはTV業界があまりイメージの良くない消費者金融の広告を取り扱わなかった事が理由にあります。しかし、バブル崩壊とともに広告獲得が難しくなったTV業界は、今までの自主規制を解禁して消費者金融の広告を積極的に流すようになりました。つまり、売れなくなった広告枠の買い手をバブル崩壊後も堅調な消費者金融に売っていたのです。そして、誰もが覚えているようなダンスのCMや犬のCMが登場しました。消費者金融がどういったものなのかを知らない若い世代や、それまでその存在を知らなかった人にも広く浸透させるには十分な効果があったのです。そして、消費者金融各社は一気に拡大路線を取りました。地方都市だけではなく地方の市にまでも支店やATM、無人契約機を配置して競って契約をとって、売上を伸ばして行きました。そして、消費者金融は常に一等地である駅前や繁華街に支店を持ち、目立つ看板を大きく掲げていました。何処に行っても目にするそれらの看板は、次第に消費者にとって当たり前の存在となり、以前のサラ金の悪いイメージが少なくなっていったのです。消費者金融は不景気には資金需要の受け皿となりますし、好景気でも気安い資金需要として機能します。また一度利用をすれば簡単に完済出来無い人が多い為、利用が長期がするのが普通だったのです。つまり、悪くなる要素が無いのが消費者金融の特徴とも思われていたのです。

グレーゾーン金利と過払い金請求

グレーゾーン金利とは貸金業法で規定された、利息制限法を超えても有効とする金利です。利息制限法では違法なはずなのですが、貸金業法では合法としていましたので、違法か合法か分からないという意味でグレーゾーン金利と呼ばれていました。二つの法律が矛盾した基準を提示していたので、根本的な問題があったのです。しかし、この問題は最高裁の判断で貸金業法の金利が違法であるという判断により一転します。違法な金利で長年営業を続けていた消費者金融にとっては寝耳に水の事態でした。何故ならば法律というお墨付きを得て営業していたにもかかわらず、急に違法扱いを受けてしまったのです。そして、過払い金請求が起こされる事になります。違法な金利として受け取っていた分は元本の返済として考えれば、長年の返済をしていると元本が既に支払われている事になるのです。消費者金融の利用が長い人程過払い金の金額は大きくなります。こうして、消費者金融には多くの請求が殺到する事になってしまいました。当然、消費者金融の経営はかなり危機的な状況異なります。経営破綻してしまう消費者金融もありましたし、銀行に救済を求めてそのまま銀行の傘下に入る消費者金融もありました。年間数千億円もの過払い請求があったのですから、本当に大変な事態となってしまったのです。こうした経緯を受け貸金業法は改正される事になりました。違法とされた金利はもちろんの事、多重債務問題や様々な規定が見直されて、消費者金融業界は一気にその環境が様変わりしてしまうのです。

銀行と消費者金融の違いと融合

銀行は市民からお金を預かり融資で運用して利益を上げるシステムです。しかし、景気が冷え込んでしまうと資金需要は減ってしまいます。また資金需要に対して担保価値が見合わなければ融資する事は出来ません。バブル崩壊後の銀行は金融ビックバンを経て、あまり芳しくない状況が続いていました。優良な融資先が減ってしまい利益を上げるのが難しくなってしまったのです。過払い金請求で体力の失われた消費者金融は銀行に助けを求めました。そこで、銀行は消費者金融の潜在的な資金需要に目を向けたのです。無担保であるリスクと高金利でカバーすると言う、本来銀行が行って来なかった融資システムです。消費者金融を自社の銀行グループの傘下に置き、そのノウハウやシステムを吸収して利益を上げる事を始めたのです。現在、多くの消費者金融が銀行グループの傘下に入りました。そして、銀行にとって今まで得られなかった利益を獲得し始めたのです。また、銀行が独自のカードローンに参入し始めています。消費者金融ではありませんから、銀行のカードローンにはメリットがあります。そのメリットを最大限に活かして利益の獲得を目指しているのです。本来銀行と消費者金融は相容れない存在の筈でした。しかし、それぞれに苦境があり長短が存在していましたので、結び付いた時に得られたのは意外に大きな物だったのです。銀行の傘下となった消費者金融はその豊富な資金力に支えられて反転を続けるでしょう。そして、消費者金融が発展すれば銀行のカードローンは差別化する事で発展するのです。この両者の関係がうまく機能しているのが現在のカードローン業界なのです。

多くの悲劇を生み出した現実

カードローンの歴史は余り良い物ばかりではありません。常に多重債務問題の中心に位置していたカードローンは多くの悲劇も生み出してきたのです。借金問題を抱えて強盗してしまう人が報道される事があります。詳しくみてみると、たかが300万円の借金を返済する為に強盗してしまうのです。自殺の原因が借金の場合も多いです。しかし、その場合も負債額は数百万という事が多いのです。数百万という数字はたしかに大きな数字ですが、返せない数字でもありません。それに債務整理の権利があるのですから、何とかならない問題でもありません。それなのに何故か犯罪や自殺といった問題になってしまうのです。それは債務者が追い詰められる事にあると思います。借金の返済が苦しくなるのは何らかの事情もありますし、借りすぎてしまう場合もあります。ある時点から返済が実質不能だとわかっていても、返済の為に借りたり、無理をして債務を増やしてしまうのです。その様な事を続けている人は確実に退路を失われるように追い詰められます。そして、どうにもならなくなった時に、強行に及んでしまうのです。確かにカードローンは大抵が高金利で返済が進まないシステムです。そして、自己管理が出来なければいずれ債務は増えてしまうでしょう。かと言って犯罪は自分の命に値する債務では無いと思います。追い詰められていく仮定で債務者が正常な判断を出来なくなり、通常では考えられない行動を引き起こしてしまうのだと思います。